書籍・雑誌

2008.04.01

ジュルちゃんの本

こんにちは。
今日は素敵な猫さんの本のご紹介です。

「ジュルのしっぽ」  JULIAN刊 1400円

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私の大好きなブログの筆者でもあるhana*さんの本です。
主人公は「ジュルちゃん」。
病気で座ることもままならない状態の猫さんとの出会い。
猫エイズがいつ発症するかわからない猫さんとの暮らしを始めるとき、
別れの悲しみに押しつぶされないかと考えるhana*さん。

そんなhana*さんに、ご主人さまは語りかけられます。
「たくさんの動物を世話してきたけれど、失う悲しさよりも、
もらった幸せの方が、ずっと多かったよ」

この言葉を読み返すたびに、こみあげるような気持ちになります。
本当にそうですね。

今、私も目の前で病気と戦うカンタロウを眺めながら、
その命をまっすぐに生きている姿に感動しています。
そういう「生きる姿」から、人間はたくさんのことを学びなおさねばならないのではないかと。

よく生きることは、よく死ぬこと。
人間の心を見るときにも、必ずぶつかるテーマです。
そんなことがしみじみと、そして自然と、微笑みながら浮かぶ本です。

印税はすべて、身よりのない犬猫のシェルター「ライフボートの会」へ寄付されるとのことです。
殺処分される犬・猫への各自治体の取り組みに対して、市民レベルでもできる具体的な行動を、まさに実践されているhana*さんの、そのことも書かれています。追加注文して、獣医さんの待合室に寄付しようと思っています。

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2006.11.21

Little Tree

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もうかれこれ10年以上前に読んだ「Little Tree」(リトルトリー・フォレスト・カーター著・めるくまーる刊)は、私の好きな本の一冊で、今でも時折思い出して手に取ります。昨日の記事もですが、思うことがあってもう一度開いてみました。

チェロキーの祖父母に引き取られたlittletreeは、その生活の中で様々なことを学ぶのですが、その精神性と自然との共生の姿勢には、優しさと厳粛な姿があります。この中に80歳代のインディアン・ウィロー・ジョーンという男性が登場します。この人の最期の場面が強く心に残っています。

「ウィロー・ジョーンは顔を西に向けた。眼路はるか、いくえにも重なるけわしい山と深い谷をへだてたネーションの方向に目を向けたのだった。祖父は小屋に戻り、ウィロー・ジョーンの長いナイフを持ってきて、それを手に握らせた。ウィロー・ジョーンはナイフを持ち上げ、刃先をねじくれた老木の方に向けた。『わしが死んだら、あそこに、彼女のそばに埋めてくれ。彼女はたくさんの子どもをつくり、わしにたきぎを恵み、暖めてくれた。わしをずっとかくまってもくれた。あそこへわしを埋めるのはいいことじゃろうよ。食べものがあれば、彼女はもう二冬は生き延びられるじゃろ』」(中略)
「ぼくはウィロー・ジョーンに話しかけた。『きっと風邪だよ。おばあちゃんが言ってたけど、すごく流行っているんだって。ぼくたちが看病してあげるよ。歩けるようになったら家へ行こうよ。歩けるようにさえなればいいんだ。絶対だいじょうぶだよ』 ウィロー・ジョーンは笑ってぼくの手を強く握った。『おまえはいい心を持っているなぁ、littletree。じゃがな、わしはとどまっているわけにはいかんのじゃよ。もう行きたいんじゃ。いつかおまえが来るのを待っとるよ』」

「全ての人工物は元々人間の脳にあったもの」というのは養老孟司さんの言葉です。
でも自然は人間の脳の外側にあったもの。人間の脳の中でだけ計画されたものには限界があるから、それだけで押し通すと、生き物としての人間の生き方も脳の中でだけ行わねばならなくなる・・そんな状態が今なのかもしれません。 そんなこんなを言いながら、毎日パンをかじって生きているのも人間。だから哀しくもあり、だから愛しくもある。過去でも未来でもない、今を生きていることが、最大の幸運・幸福であったことを忘れないようにしたい・・そう思います。

「しばし別離のときを延ばしてくれないだろうか、ウィロー・ジョーン?
ぼくのために。
ひとときでも長くこの岸にとどまってほしい。
そうすれば
別れの時をともに心静かに迎えられるだろう。
のちのちあなたを思い出すたびに
ぼくのせっかちな涙はなだめられ
胸に刻まれた悲しみもやわらげられるだろう。」Littletre

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2006.10.18

幸福写真

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アラーキーさんの本をもうひとつ。「幸福写真」。
みいさんに教えて頂いて読みました。
下のは本文中にあった、最近のチロ。相変わらず昔と同じく肝の据わった顔していますね。(^^) 「愛しのチロ」の原本は1990年。それから16年たっていますが、チロはたぶん、19歳くらいではないかと・・。だから本文中で「100歳」と表現しているのもわかります。以下は、亡き妻陽子さんのことも書きながら、ご自身の幸福写真を掲載された部分の文章です。

『生に対する愛と、死に対する愛。愛は、死に対するもののほうが強いかもしれないね。泣くこと、気持ちが止まってしまうこと、そういうところで感じる愛。 でも幸せは、もっと単純ってゆーか、もっと俗っぽいってゆーか、些細ってゆーか。イイな、と思う写真には、やっぱり互いに何かを感じあってるところがちゃんと写ってる。親子、家族、恋人、夫婦、お互いの愛しい気持ち、仕種が写ってる。「幸せ」とか「愛してる」とか、口に出して言うのって恥かしいけど、でもだからこそ、単純に口に出しちゃおうぜって気分かな。 061018c
 いやー、これは今までにない本ですよ。世間には一応「男のコは不良じゃないと」とか「何が幸せだ、アタシが好きなのは小さな不幸だ」とか言って、騒いでんだけどさ。  061018b_1
今でもバルコニーで花とか雲とか写してるんだけどね。今はすごいよ、廃墟ってゆーよりジュラシックパーク。みんなどんどん錆ついて、ガタがきて壊れてく。でも、それも魅力。生きてるのか死んでるのか、愛おしいものがそこに在る感じ。無意識に墓場にしてるのかなー。墓場。墓地。オレの原点。みんな、元に戻る。愛おしいものに戻る。』

で、下のは我が家の『幸福写真』。(^^ゞ相変わらず絆創膏だらけのカンタロウですが、満たされた顔を見ていると、こちらが幸せな気分。
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2006.10.03

アラーキーさんとネコ

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写真家の荒木経惟(あらきのぶよし)さん、通称アラーキーさんは、ヌード写真や「東京日和」などで有名ですが、このネコ写真も結構有名ですね。
最初にこの方のネコ写真に出会ったのは、獣医さんの待合室でした。「愛しのチロ」という小さなサイズの写真集。ここには亡くなられた奥様も映っていますが、何よりアラーキーさんがチロ大好きだったことが伝わる本です。文章は少ないですが、正直な言葉で語られるところが魅力的です。
「(略)夜眠れない。チロはよくねてる。ベッドで泣いてはいないが(一度泣いた)、ヨーコのことを想って胸が痛む。明け方に半夏厚朴湯を飲む。昨夜も眠れなかった。ニャーァ、ニャーァと首の鈴の音をさせながら、チロが帰ってきた。チロも寂しいらしく、屋根を越えて遊びに行ってもすぐに帰ってきてしまう。泣き声がすごく哀しい。ひょいっとAの胸の上にのった。チロちゃん、ママはやく帰ってくるといいねェ。チロとちょっとうとうとしたらしい。夢をみた。ヨーコとチロといっしょにどこだかの露天風呂に入っていた。(略)」
数年前、アラーキーさんが美術を担当した「みすず」という映画を観ました。金子みすゞさんをモデルにした映画です。主演が今ひとつだったので、それほど気に入った映画でもなかったのですが、でも、この映像の美しさ、色使いがすごいなぁ・・と感心したのは覚えています。変わった方のようですが、なんだか魅力的な方ですねぇ・・アラーキーさん。ネコ好きなところがまた好きです。(^^;

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2006.02.08

まどさんの英語の詩

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まど・みちおさんの詩集です。美智子皇后の英訳で出版され、1990年の国際アンデルセン賞を受賞しました。
まどさんといえば、「ぞうさん」の歌でおなじみですが、それはそれは、素敵な詩がたくさんあるのです。ぜひ一度、詩集を手にとってみてください。金子みすゞさんの詩とは表現が違いますが、でも、その心の底に流れるものには通じるものがあると、私には思えます。お二人とも、大好きな詩人です。短い言葉に哲学がある・・私にはそう思えて、それぞれの年代の楽しみ方があると思います。
英訳は難しいですよね。でも、皇后様が訳されたことによって、まどさんの詩が、世界の人たちに読まれるようになって、良かった、と思います。

「ことり」

そらの しずく?
うたの つぼみ?
目でなら さわっても いい?

「A Little Bird」

A dewdrop from the sky?
A bud of a song?
May I touch you just with my eyes?

「THE ANIMALS」「どうぶつたち」 まど・みちお詩/美智子 選・訳 (すえもりブックス)

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2005.11.08

いつもだれかが

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「いつもだれかが」 プレゼントに頂いたドイツの絵本です。おじいちゃんが小さい頃から、いつも誰かがそばにいて、危ないときには助けてくれた・・だから幸運だったと人生を振り返るのです。絵本の中ではおばさんみたいな天使が描かれています。(^^; 
実はこのところ、「天使」づいています。
数日前、ある看護師さんが、「絵を描くのが趣味で、天使の絵を描きたいとずっと願っている」という話を聞き、昨日には、ある人からのメールの最後に「・・・突然ですが。なんで、エンジェル(天使)は飛べるか・・知ってますか?彼らは、私たちが捕らわれている、そんな荷物や執着や・・そんな重たいものを持っていないから、飛べるんだそうです。They can fly easily, because they take themselves lightly 」と書いてあって・・・。こういう話が重なるのは共時性かな、などと。
私はこの絵本の話を素直に聞けるなぁと思うのですよ。今までを振り返って、「ラッキーだった」ことが結構あるので・・。(^^) それぞれ、どんな天使がついていてくれるのか、想像すると楽しいですが、私の天使は、おばさんかな、それとも、おじさんかな、若い天使かな???(^^)  写真横のキャンドルスタンドも一緒に頂いたものですが、蝋燭をつけると、周りの透明の小さな玉に灯火が映って、なんとも素敵なんですよ。

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2005.08.08

命の授業

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スクーリングで教育学関係の授業を受け、そのクラスで一緒になった人に聞いた本です。私の通っている大学の先生が書かれた本だったので、生協で早速買ってきました。『豚のPちゃんと32人の小学生』・・テレビでも一時話題になったので、ご存知の方も多いかもしれません。三年間、クラスで豚を飼い、卒業のときにどうするか・・・話し合った結果、16対16で、「下級生に引き継ぐ」「食用として引き渡す」に分かれ、最後の一票を担任の先生が投じた、というお話です。結果、卒業式の三日後、食用としてPちゃんは引きとられていきます。
帰りの電車で斜め読みし、思わず泣けてしまいました。小学生の子達の、必死の話し合い・・・担任の苦悩・・。
私の息子が幼稚園のとき、『三匹のこぶた』を読みました。その後のある日、夕食にトンカツだったかを出しました。4歳の息子が、これは?と聞くので「豚さん」と答えると、「かわいそう・・」と絶句。そこで私は、はっとさせられたものです。
動物大好き、動物を助けたくて獣医を目指して三浪し、やっと獣医学部に入ったら「家畜の処分の仕方」を繰り返し繰り返し実習する場面に、とうとう途中で退学したという人の話を聞いたこともあります。
私たちが動物の肉を食している限り、必ずそれをそのような形にする過程を担う人がいます。marさんのHPの「本日の駄文:7月5日分」にも、同じような心情が書かれています。 生き物の命を頂いて生き延びているわたし達が、その過程を担ってくれる人への感謝も込めていかなければ・・と、あらためて感じます。

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2005.06.09

『いのちのまつり』

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『ヌチヌグスージ』・・・沖縄の言葉で「いのちのまつり」という意味だそうです。
心療内科医の竹内さんの話に出てきた絵本で、興味があったので早速取り寄せました。(草葉 一壽 作 :平安座 資尚 絵 :サンマーク出版 ) 一言で言うと、自分が生まれてくるためには、無数のご先祖様があってこそのこと・・という本です。(^^; 050609a
途中のページに、その無数のご先祖様の絵が描いてあって、これが結構楽しいのです。ウォーリーを探せ、状態。(^^; 文章はまだ余分な言葉があるように私は感じましたが、でもいい本です。
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もう一冊、先日ご紹介した、友人からの絵本。『わらべうたがきこえる』(柚山 明子 編:中里 和人 写真 柳原出版:CD付)です。友人の所属するわらべうたサークルを指導する方が、子ども達と一緒に色々なわらべ歌を歌っている様子を録音し、CDに収録されています。また、その歌詞が、素敵な写真と一緒に本になっているというものです。厳密には絵本ではないかもしれませんが、これをめくりながら、子ども達の声によるわらべ歌を聴いているだけで、なんだか胸が熱くなります。 私も年でしょうか・・?(^^;

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2004.10.31

「ツイてる?」

斎藤一人さんの「ツイてる」を読みました。
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最初は、よくある成功談かと思ったのですが、エッセイ風に書かれていたのと、そこから伝わるお人柄にも結構惹かれました。「ツイてない人間って、自分のことを「ツイてない人間だ」と思っているだけなんですよ。ツイてる人間とツイてない人間の違いとは、たったそれだけのことなんです」とあるように、全編を通してポジティブな人だなぁ・・と。また、合わない人と会わないためには、少しお金が必要だから働く、とも書かれています。意味は少し違いますが、チャップリンの「幸せには、想像力と、ほんの少しのお金があればいい」というセリフを連想してしまいました。(^^)

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2004.10.24

救命センターからの手紙

大変な地震。心よりお見舞い申し上げます。

阪神大震災の時、大阪にいたので、神戸ほどでは
ないのですが、やはり大変な揺れを体験しました。
震度6は、それは大変なことだったのだろう・・・
そう想像するのみです。 
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浜辺祐一さんという救急のドクターが書かれた本を
2冊読みました。「救命センターからの手紙」と
「こちら救命センター」です。
人の命について、少し粗っぽい口調ではあるのですが、
いつも同じ目の高さで患者さんに対している姿が伝わります。
また、医師だけあって、命の定義についても淡々と語ります。

生々しい現場の事例に、時には胸が熱くなり、時には
哀しくなりつつ読み進みました。
命について、人生について、
浜辺さんの本には、命の終る場所に
立ち会う仕事という現実を通して、
なまじな哲学書にはかなわないような
実感と説得力があるように思いました。

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