小康
カンタロウが腎盂炎でダウンしてからというもの、日常生活は普通に送りつつ、しかし気分はブルーな日々を送っておりました。皆さんからの温かいお言葉が、どれほど励みになったか知れません。本当にありがとうございます。
おかげさまで、今日のところはカンタロウの熱が下がり、寝姿も見ることができるようになりました。
思えば、もっと早く調子が変わったことに気づけば良かったのですが、どうやら先週の日曜あたりから食欲があまりなかったのですよ。PH(ペーハー)コントロールというキャットフードを13年以上食べさせています。ここ数回はインターネット通販で買えることを知って、それを食べさせていたのですが、先日新しいものの封を切って食べさせたところ、カンタロウだけではなくミミもあまり食べなくなったのですよ。だからフードの味付けが変わったのかな・・とも思っていたのです。
水曜日の夕方に帰宅すると、いつも寝ているソファー上の電気座布団の上にいなくて、ソファー足元のカーペットにいたのです。そのとき、「あれ、どうしたのかな?」と思ったのですが、そういう日もあるだろうと気にせずにいました。本当はもう、乗せてやってもソファーから自分で降りることすら辛かったのだと思います。
仕事で疲れていたので、夜、そのソファーでうたた寝をしてしまい(いつもなら、そこは僕の場所とばかりに、起されるのですが)、気づくと午前2時。
ふと目の前のカーペットで寝ているカンタロウが「なんか変・・」と直観し、なでてみると、その鳴き声が力なく、「これは変!」と確信。いつもなら暴君なカンタロウが、こんなに弱弱しい声を出している。これは変。(「動物のおいしゃさん」というコミックの中の凶暴鶏ひよちゃんが風邪をひいたときのようだ、と不謹慎にも思い出していたのですが・・。)
身体も熱いし、とにかく元気がないので、びっくりして深夜救急の動物病院へ。
午前3時に診察してもらうと、熱が40度近くあり尿がにごっているので、腎臓関係の病気かもしれないと言われました。その場では軽い抗生物質とブドウ糖の点滴で帰宅し、翌日夕方かかりつけの病院で検査すると、腎盂炎とのことでした。それに、もう年齢的にも条件的にも、腎臓の機能はかなり低下していて、これは今回の病気に関係なく、じわじわと進行していたのだろうとも言われました。餌のおかげでPH値だけはそれほど悪くなっていませんでしたが、ある程度予想していたことです。
内心、「わ、昨年春に私がかかったのと同じ病気にカンタロウが罹るなんて・・」と思わず同情。あのだるさ、発熱の辛さ・・きっとカンタロウも同じような状態なのだろう。と。
翌木曜日は後ろ髪を引かれつつ、朝から仕事。
帰宅後病院へ。点滴と注射。熱は下がらず、41度に迫らんとして、ますますぐったりの状態でした。食欲どころか水さえ飲もうとせず、何がつらそうかといえば、寝ようしても眠れないようで、うつろな目をしていたことでした。あれだけ終日幸せそうな顔をして寝ているカンタロウが眠っていないとは・・・それを見ているのが辛かったです。
で、その木曜夜は、たまたま私の仕事で、ある別の動物病院へ行く事になっていました。
仕事前に少しだけそこの院長先生に話したら、「それだけの熱があったら、解熱剤も打ってもらいましたか?猫が三日間も飲まず食わずだと、理由に関わらずまずは熱を下げてやらないと体力が消耗してしまって、肝炎を起すこともありますからね」と聞かれました。どうやら人間と違って、解熱剤を打つときと打たないときがあるようです。偶然ですが、そんな風にしてセカンドオピニオンを聞くことができたわけです。
翌金曜日、まだ40度の熱があってとても辛そうだったので、思い切ってかかりつけの先生に「あの・・もう3日以上も飲まず食わずの状態で、熱があって体力がもつかどうか・・あまりにしんどそうなので、解熱剤っていうのはどうなんですか?」と聞いたところ、そこのドクターは賛成しない、という意見。猫の場合は解熱剤を使うリスクの方が大きいからということで。 いくら熱を上げて白血球に病気と戦わせても、その前に体力喪失してしまっては何もならないのでは・・という思いもあり、結局消炎鎮痛剤の一種をしぶしぶ打ってもらいました。
翌土曜日。
朝、ちょっとだけ自力で水を飲もうと、一メートルくらいは移動するようになり、病院で熱を計ると39度ちょっと。一度熱が下がるだけで眠るようにもなって、何より楽になった様子を見て小さな安心。点滴。
日曜は病院が休みだったけれど、土曜と同じく水を飲んで昼寝するようになり、病後食(ad缶と呼ばれる犬ネコ用病気療養食)を少しずつ食べさせました。自力で餌は食べませんが、人差し指に餌のペーストをのっけて、カンタロウの口をちょっとだけ開けて、正面の犬歯と犬歯の間から指を入れて上あごにくっつけるようにすると、いやでも口を動かして食べてくれます。いつもの食事量とは比べ物にならないくらい少量ですが、高カロリーなので通常の餌よりは効果があるようです。そう、まるで離乳食を食べさせている気分、もしくは文鳥の子どもに餌をやっている気分です。(^^;
そして月曜。
朝から仕事なので、まずいつもの圧迫排尿を済ませて、粉薬をぬるま湯で溶いたものをスポイトで飲ませ、少し時間を置いてから餌を指で。帰宅は午後10時前になってしまいましたが、家族が病院へ。熱が38度に下がっていたということで、峠は越えたようです。油断はできませんが。
診察当初にかかりつけ病院で採尿・採血したもので培養検査をしてもらっています。効く薬を特定するためだそうです。最初は、「え?結果が出るまで一週間も?それまで無事でいてくれるかどうか分からないのに・・」という思いでした。でも、そろそろその結果も出てくるでしょう。正直、それまで生きていてくれて良かった、という思いです。
カンタロウは元々後半身が動かなくて、私が圧迫排尿をしているため、どうしても尿がたまりがちになります。仕事で長時間家をあけることも多いですし、排尿させる予定が延びたりすることもしばしばです。猫にありがちとはいえ、腎機能の低下も、そういう事情が影響しているのだろうと想像しています。
そんな我が家の事情の中で、カンタロウは生きてきました。
もっともっと丁寧にケアしてやっていれば・・と悔やむところもありますが、反面、これが我が家の精一杯の生き方だから勘弁してね、という思いもあります。もちろん長生きして欲しいのですが、治療方法などは、私たちなりに考える(彼が苦しい状態やストレスフルな状態をできるだけ避けたいという)QOL基準でいつも判断します。
息子が死にかけていた仔猫の彼を拾ってきて我が家に迎えると決めたときから、彼との付き合いかたはすでに決意していました。ある意味覚悟もしました。そんな我が家だけど、王様のカンタロウがいてくれての我が家でもあります。
やっと小康状態になったとはいえ、軽くなってしまったカンタロウを抱き上げると、しみじみと、そんなこんなを思っています。
もうしばらくはお互いいたわりながら一緒にいさせて欲しいと願うばかりです。
あ、カンタロウは私をいたわるというより、ただわがままな王様でいてくれたらそれでもう、充分なのですよ。(^^;
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